2015. 05. 26

DAWN Perfumeの新作シャーベット・スパウォーター(プロセスの裏側3)

ダウンパフュームの香りに、FORMULA X(フォーミュラX)というパルファムがあります。

 

シリーズの中でも一線を画すこのフォーミュラXは、本来、皆それぞれが生まれつき発している、

肌の内側から沸き立つ香り自体を増大させ引き立たせるという、いわゆる「香りを身につける」という本来の香水の

定義を、「内面の香りを引き出す」という真逆の概念でアプローチし、そうした新しい解釈で香り好きの方はもちろん、

香水自体が苦手だった方までもを引きつけ魅了しているパルファムです。

(通常、肌の香りは食生活や季節、その日の体調によっても大きく変化します)

 

そのフォーミュラXのフェイスラベル・デザインに見られるレッドとピンク、パープルをミックスした様な

アイビーの葉色をご存知でしょうか?

 

内面の香りは、まさにその人の生活習慣の状態で大旨決まります。

この色はそうした日々、細胞分裂を繰り返し新陳代謝の基盤となって体内を駆け巡っている「血流」・「血色」を

イメージした配色です。

 

 

新発売されたスパウォーターも同じく、イメージソースとなった少女の心境の変化や記憶の中の香りのフラッシュバック

を、内面(血流)の変化(グラデーション)としてフェイスラベルへ表現(デザイン)させています。

 

Braid Beach:まず頭上から清涼感を感じ、その後、徐々に意図する香りが現れる。

(幼少の頃、なんの疑いも無く海の波と戯れ、体内の全エネルギーを消耗しきった波打ち際、冴えわたる五感で

初めて感じた芳しい香りの誘惑)

 

Jewel Sabotage:最初に意図する香りに包まれ、その後徐々に清涼感が際立ってくる。

(偶然見つけた何かに魅了され進むも、気がつけば其処が今まで行ったことも見たことも無い場所で、ひんやりと

自分の背筋を他の誰かになでられた様に我に返る)

 

こうした誰もが幼い頃に経験したであろう遠い記憶をデザインに加え、2種類の香りを「夏詩」へと集約させ

フェイスラベルやカタログへ英文ですが、しっかり盛込ませています。

 

 

ここでは(多分ここだけ)、2つの「夏詩」の原文を載せておきます。

 

最後にひとつ補足しておきたいのですけれど、

このシャーベット・スパウォーターは私共々、開発に関わった全員にとって思い入れのある自信作となりました。

なので今回、内部事情というか制作のプロセスを淡々と書込みましたが、実はそんな内部事情なんてモノは

どうでも良いことでして(笑)、皆さんにはただただ気持ちよい香りと共にこれからのシーズンを思い切り楽しんで

過ごしてほしいです!

 

 

Braid Beach(ブレイドビーチ)

サマータイムの海岸、遠浅の白砂にはいつもの貝殻達。

疑い様がなく、永遠と願う時間。

夕暮れ時の帰り道、海岸線をいつもとは違う方へと歩き出す。

見慣れないドイツ・イエロー。本能がこの野バラの「背伸びする香り」に呼び寄せられたのだろう。。

夏は何もかもを成長させる。

三つ編みだった私の髪。

 

 

Jewel Sabotage(ジュエルサボタージュ)

未開の場所、それはいつもすぐ側にあるもの。

手探りでかき分け、遠くに見えてくるその「かぐわしい香り」は、

ためらう程に咲き乱れる無名の花々。まるで宝石の原石を散りばめたかの様な。。

心の奥底を滑らかに破壊し、鮮やかに傷ついた(開かれた)ハート(欲望)がその先へ導いていく。

茫漠とした手の届かない場所、私にはそんな場所最初からなかった。

全てが私のすぐ目の前に。。。

 

 

大澤二天

 

 

2015. 05. 26

DAWN Perfumeの新作シャーベット・スパウォーター(プロセスの裏側2)

 

前回に引き続き、DAWN Perfumeの新作シャーベット・スパウォーターを完成するまでのプロセスを

書込みたいと思います。

 

いつも新作の香りを出す度に行う工程の中で、アメリカのコロラド在中のダウンパフューム調香師である

DAWNと作り出す香りについてネットミーティングを定期的に行っています。

 

もちろん基本的な香りのアコード(いわゆるTop,Heart,Lastの香料バランス)についても、

どこにどの香料を配置するかという会話や、現段階で世に無い新たな香料自体をDAWNならでの

の解釈で開発する事も少なくありません。

 

今回も”Yellow Rose, Sea shells, Emerald Cypress, Wild Flowers, Wild Rose, 等々(ほんの一部ですが)、

斬新で新しい香料を開発し、今まで経験した事のないセンセーショナルな香り立ちを作り上げています。

 

一度のミーティングでパーフェクトな香りが出来上がる事もあれば、お互いの感覚が交差せず幾度となく

サンプルを制作してようやく完成することもあるのですけれど、このスパウォーターはまさに後者にあてはまり

(苦笑)、途中私が意図している香りからかけ離れた時期がありました。

 

その時(約1年半前のこと)にミーティングではままならず、DAWNにメール(和訳)をした内容の一部です。。

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sherbet のサンプルチェックしましたが、これでは方向性が前回のものと殆ど変わりないです。

根本から改善頂きたいです。

 

2つの香りは基本的にユニセックスの位置付けで考えています。

隠し味としての「甘さや」「気だるさ」は必要ですが、あくまで隠し味です。

(今のものはそれらが全面にきていて、女性的で幼く、少し古い感じがします)

頭の中が覚醒したり、過去の記憶に瞬時にフラッシュバックするかの様な鋭さや新しさを求めています。

 

それから今回のサンプルは、清涼感を感じる感覚の意図する順番が逆に設定されている様に感じます。

 

(Braid Beach:まず頭上から清涼感を感じ、その後、徐々に意図する香りが現れる)

(Jewel Sabotage:最初に意図する香りに包まれ、その後徐々に清涼感が際立ってくる)

 

 

Braid Beach:

(メインは爽快感や清涼感があること前提として)海岸沿いに咲く「ドイツ産のライトイエローの野バラ」と

夕暮れのそよ風をイメージしています。

バラは、海岸沿いで生きている力強さや茎を折った時に感じる「青さ」、成熟して初めて感じることの出来る、

苦みや渋みにへの好感。

それらを含めて本当の美しいさを認識できる大人へ向けた香り。

ドイツ産のバラの香りは、ひとつひとつの花びらの子気味よいエッジの効いたドイツらしいバラで、

香りもとても繊細で、ある意味インダストリアル的な要素も感じられるが、そうした侘び寂びを前提に造り出した上での

新しい甘さを表現しているかのような香り立ち。

(ちょっと話がそれてしまうが、野菜に塩をふって甘さを引き出す様な方法)

 

 

Jewel Sabotage:

(メインは爽快感や清涼感があること前提として)どこかの密林や、初めて自分が踏み入れた森で、

偶然遭遇する花畑(もちろん人工的ではなく、かなり野性的ではある)をイメージしている。

ベースは森やワイルドな草原であり、花々も見たことも無い花や種類も色も豊富な状況が目の前に広がっています。

それ故、香りも様々な「植物」が入り乱れ、最初は躊躇し後退してしまうが、その「癖」になりそうな

「ミックスフラワー」と「緑」の香りをイメージしている。

ここでも同じく「甘さ」ではなく「自然界」を香りに求めています。

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このように求める香料のイメージを膨らませ、背景自体をお互い共有する事がとても大事な要素であることは確かです。

デリケートであり強烈な意思確認だといつも感じています。

 

次回はスパウォーターのフェイスラベル・デザインの経緯についてのお話しです。

2015. 05. 25

DAWN Perfumeの新作シャーベット・スパウォーター(プロセスの裏側1)

 

 

5月上旬より全国のコスメキッチン店にて先行発売していたダウンパフュームの新作

「シャーベット・スパウォーター」も、そろそろ他店舗展開が始まりつつあります。

 

このスパウォーター(ローション)は、ひんやりと肌をクールダウン/トーニングしながら保湿してくれる、

全身に使えるリフレッシング・スパウォーターです。

成分も肌や使用感を考えていて、

ザクロエキス、ローズマリー、ホワイトティー、アロエベラジュース等で抗酸化作用をもたらしつつ、

その延長上にメインコンセプトである肌をヒンヤリ引き締めるアラントインを配合させています。

 

どこまでも素肌や環境にやさしいものなので、お子さんやペットのいる方も安心してご使用出来るのです。

 

 

さて、表向きな説明の続きはダウンパフュームの公式FacebookページHPをご覧頂くとして、

ここでは、この商品を生み出すまでに至ったプロセスやコンセプトを数回に分けてお話しようかなと思います。

 

当初このシャーベット・スパウォーターを構想する時点で、香り立ちそのものが織りなすイメージと

クールダウンという感覚(体感)に時系列(時間差)をつけ、肌と香りで変化(奥行き)を感じられるものに出来たら

という構想がありました。

その「奥行き」を考えた時、自然と「ある一人の主人公」が生まれ、主人公が過ごした「ひと夏の時」の

『MEMORY_断片』が香り作りのメイン(主軸)のイメージソースとなってゆく事となります。

 

 

そこでまず今回のブログで紹介するのは、この主人公が「過去の自分」へとリンクする2つの香り

『Braid Beach』『Jewel Sabotage』のプロローグ(背景)の解説文です。

 

 

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・・・・・・この文章は、10歳前後で自分が少女だった頃の、成長の過程の狭間で揺れ動く

(ちょっとオレンジの皮の苦みを連想させる様な)、希望と不安を抱いていた時間の断片であって、

それを成長した自分自身が回想している内容です。

 

*この少女は、そのまま真直ぐに成長し、未だに純粋さと夢を重んじる女性へと成長しました。

その成長過程の中で、数多くの痛みや少しの残酷な事も経験、しかしその過程も少女の魅力となり、

外見からもその柔らかく凛とした清々しく包み込む様な趣が見て取れます。

 

少女(現、27歳)が夢の途中である今、新たな壁にぶつかり、この夏、久しぶりに田舎故郷を訪れます。

 

2日目、向った近所の海岸と町の(自分の)シンボリックだった裏山へ足をのばす。

昔とは異なる心身から見える景色に少し戸惑いつつも、ゆっくりと自分を受け入れてくれる景色に少し目がかすむ。

 

石畳の階段にある木陰に腰を下ろす。

小さなため息の様な深呼吸をしながら、ふと隣にひっそりと咲く小さな草花に目を奪われる。

その中の小さな赤い花、名前が出てこない。知っている筈なのに出てこない。。

 

同時に少女の頃の記憶がかすかに蘇り、三つ編み少女(昔の自分)が今の自分へと語りかける。

 

その赤い花の名前はどうしても出てこない。。

それでも、どうしたって弛む口元のまま足早に家へと帰った(向っていた)。

 

その夜の食卓、自慢げに(自分は知っているかの様に)、

周りにその赤い花の名前を知っているか?と、子気味良く、そして少しはにかむ様に問いかけた。。。

 

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次回は幾度も修正し完成してゆく香り作りの過程より、

調香師DAWNと私との間で繰り広げられるディスカッションの「ひとコマ」を少々。。